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2023.03.15
コラム

自転車で走りたい!世界のおしゃれでユニークな橋

コラム監修:自転車総合研究所 所長 古倉 宗治

 

日本で有名な橋といえば、神奈川県から千葉県を結ぶ東京湾アクアラインのアクアブリッジ(4,424m)や、最近まで吊橋としては世界最長だった兵庫県の「明石海峡大橋」(3,911m)などがあります。どちらの橋も自転車で通ることはできませんが、世界には自転車での走行が可能な(もしくは自転車専用!の)橋がいくつもあり、その数は増え続けています。

今回は自転車での走行が可能な世界の橋を4つご紹介したいと思います。

 

1.Circle Bridge(デンマーク・コペンハーゲン/2015年)

 

引用:Cirkelbroen by Olafur Eliasson | Nordea-fonden
 

サークルブリッジはコペンハーゲン中心部の南東側に位置するクリスチャンシャオン地区のクリスチャンシャオン運河に架かっています。世界的に有名な芸術家オラファー・エリアソン氏がデザインし、歩行者と自転車専用の橋として2015年に開通しました。彼はこの地区の海運の歴史と文化に基づき、橋のデザインの出発点として帆船を視覚的に使用。異なる大きさの5つの円形プラットフォームからなり、それぞれに「マスト」を持つ、特徴的なフォルムが完成しました。カードキーによって開閉し大きな船が運河に出入りできるようになっています。橋の開通には約20秒かかるそう。

 

サークルブリッジは、歩行者や自転車が速度を落とすことを促し、人々が少し休憩するための見晴らしの良い場所を提供することで、運河を最短で渡るルートではなく、運河を挟んでいる二つのエリアの間に新しい空間を作り出しています。

夜間はライトアップされ、昼とはまた違った雰囲気になります。
引用:Cirkelbroen by Olafur Eliasson | Nordea-fonden
 

2.Dafne Schippersburg Bridge(オランダ・ユトレヒト/2017年)

 

引用:Dafne Schippers Bridge | NEXT Architects
 

アムステルダム・ライン運河にかかるこの橋は、ユトレヒト出身の有名な陸上選手にちなんで「ダフネ・シパーズ橋」と名付けられました。旧市街と新市街を結ぶ、早くて安全な自転車と歩行者のための橋です。橋、小学校、公園を1つの一貫したデザインに統合しているため、新旧の都市をつなぐだけでなく、このエリアの公共空間をさらに発展させる役割も担っています。

引用:Dafne Schippers Bridge | NEXT Architects
 

この橋のおかげで毎日7,000台以上の自転車が旧市街と新市街の往復にかかる時間を何分も短縮していると推定されています。そして橋を公共空間の一部とすることで地域住民や子供たちの重要な交流の場となっています。

 

Dafne Schippers Bridge from nextarchitects on Vimeo.

 

3.Cykelslangen(デンマーク・コペンハーゲン/2014年)

 

引用: Cykelslangen | Dissing+Weitling
 

さて、もうひとつデンマークの橋をご紹介します。こちらは2014年に完成したコペンハーゲン市初の自転車専用の橋で、Cykelslangen=サイクルスランゲンと読みます。スランゲンはデンマーク語で「へび」の意味で、ビルの隙間空間をくねくねとうねっているさまがまさに蛇のよう。この橋は、写真の水辺とこれに接する少し高くなっている高台との間に設けられた長さ200mのスロープ橋で、その途中で一部水面の上をくねるように通り、下の写真の建物の横まで緩い勾配で降りてきます。このスロープ橋の上を、周囲の建物の間を、曲線を描きながら自転車で優雅に通り抜け、途中でコペンハーゲン湾の6~7mほど上を走れるようになっているので自転車に乗りながら景観も楽しむことができ、車<自転車といった選択を積極的に促す効果があります。
さらに、上の写真を見るとよくわかりますが、歩行者が下の地面を通行することで、自転車利用者と歩行者を安全に分離して、お互いを衝突事故等の危険から守ってくれたり、橋が屋根の役割をしているので、悪天候時には雨から歩行者を守ってくれるといった機能も持ち合わせています。

引用:Cykelslangen | Dissing+Weitling
 
引用:Cykelslangen | DAC
 
表面は明るいオレンジ色なのでルートが明確。照明器具が内蔵されているため夜間は橋がはっきりと照らされ、夜間の明るい視覚的要素として地域を豊かにしています。町全体を注目の的にする橋の一例ではないでしょうか。
サイクルスランゲンはこの後開通するデンマークの様々な自転車専用道路の先駆けともなりました。

 

4.来島海峡大橋(日本・愛媛県/1999年)

 

引用:フォトギャラリー | ギャラリー | JB本四高速
 

最後は日本の瀬戸内海のしまなみ海道から。
しまなみ海道は広島県尾道市から愛媛県今治市に至るまでの瀬戸内海に浮かぶ島々を7つの橋で結ぶ自動車道です。各橋※1には自転車・歩行者専用道路が併設されていて自転車での走行も可能となっていて、瀬戸内海の多島美から作り出される絶景を自転車を走らせながら眺めることができます。

※1尾道市街と向島とをつなぐ「新尾道大橋」には、自転車・歩行車道が併設されていません。また、新尾道大橋と並行して設置されている「尾道大橋」(広島県管理)は、歩道が狭く交通量も多いため、歩行者、自転車の方は渡船の利用が推奨されています。

しまなみ海道を自転車で走行できる6つの橋
画像引用:橋ナビ|しまなみ海道サイクリング|JB本四高速

その橋の中に、愛媛県今治市と大島をつないでいる来島海峡大橋があります。来島海峡大橋とは3つの橋(大島側から来島海峡第一大橋、来島海峡第二大橋、来島海峡第三大橋)の総称で、全長4,105mの世界初の三連吊り橋です。しまなみ海道のクライマックスともいえるこの橋は、第二大橋と第三大橋の海面からの高さが78mにもなり、他の橋の中で最も高い位置にあるため、さらに素晴らしい景観が望めることでしょう。
しまなみ海道は通行料金が高いことが地元住民の悩みの種にもなっているそうですが、2024年3月末までは自転車は無料となっています。来島海峡大橋を含めた各橋は、観光だけでなく、島しょ部住民の通勤や通学、通院の生活道路としても幅広い層に利用されています。

馬島から見た来島海峡第三大橋(著者撮影)
 

今回ご紹介した以外にも、特に海外はデザイン性が高く、思わず「自転車で走ってみたい!」と思わせてくれる橋が多いのが特徴的でした。海外の自転車専用橋は、もともと目的地との間に河川や湾などがある場合、クルマでは橋のある場所まで遠回りしなければならない所を、自転車には自転車専用橋を設けてショートカットできるようにしたものです。クルマより、距離も時間も有利で安全なルートで目的地に行けることが主な狙いです。そしてデザイン的にも優れたものにして、より一層自転車で渡りたくなるようにしているようです。このような橋は街が注目されるきっかけにもなりますし、より良い都市環境にもつながっていくことでしょう。

筆者は、夏の時期にしまなみ海道を訪れたことがありますが、暑すぎて車移動にしたためサイクリングができなかったのが心残りです。
しまなみ海道はもちろん、今回ご紹介した橋をいつの日か自転車で走行してみたいと想いを馳せています。

>>前回のコラムへ

出典・参考文献

Cirkelbroen by Olafur Eliasson|Nordea-fonden
ユトレヒトのサイクリストのための橋には、学校や公園も一体化 設計を手がけたNEXT ARCHITECTSが動画を公開|Webマガジン「AXIS」
Dafne Schippers Bridge|NEXT Architects
Cykelslangen Infrastructure|Danish Architecture Center
Cykelslangen/The Bicycle Snake|Architizer
しまなみ海道とは|しまなみ海道|JB本四高速
来島海峡大橋|しまなみ海道|JB本四高速

※2023年3月15日現在の内容です

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