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2023.02.16
コラム

世界初!?オランダの運河の水面下の駐輪場

コラム監修:自転車総合研究所 所長 古倉 宗治

 

写真: Dutch Cycling Embassy Facebookより

オランダは自転車の保有率が国民1人当たり1.25台と日本の2倍近くあり(当コラム第5回参照)、人口よりも自転車の台数が多い自転車大国です。自転車の台数が多いと必然的に出てくるのは自転車の「駐輪」問題で、これは自転車大国ならではの悩みと言えるのかもしれません。同じ自転車大国のデンマークも国民の駐輪場に対する満足度の低さから、利用者目線の工夫した駐輪場を作り、対策をおこなっています(当コラム第7回参照)。
そしてオランダも同様です。
オランダの首都アムステルダム市にあるアムステルダム中央駅は一日の乗降客数が多い主要駅のひとつです。そのため、駅まで自転車に乗って来る鉄道利用客も多く、市は創意工夫をしながら自転車の駐輪対策を行ってきました。

 

まず、地上には相当数を収容できる駐輪場を。

 

次に、運河の水上に3階建ての駐輪場を。

 

 

それから、廃船を利用した駐輪場も。

上3枚の写真は(公財)自転車駐車場整備センター主催
「欧州における自転車政策調査」(2017年)にて古倉所長撮影

そして今回、なんと運河の水面下に駐輪場がオープンしました。

写真:今回オープンした駐輪場のデザインを担当した建築・空間デザイン事務所wUrckのHPより

この世界初?の水面下の駐輪場はアムステルダム中央駅前の水域・オーペンハーヴェンフロントに6000万ユーロ(約85.5億円)の費用で4年間かけて造られました。自転車のみ7,000台収容できる市内最大の駐輪場の誕生です。2月中にはさらにもう1か所が近くにオープン予定で、一気に11,000台の自転車の駐輪をカバーできることになります。

アムステルダム市のインスタグラムではこの水面下の駐輪場の様子を見ることができ、地下9メートル相当まで降りると広い駐輪スペースが広がっていることがよくわかります。

 

 

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この動画の中で、入場ゲートでカードのようなものをかざしています。これはOV-chipkaart(オーフェー・チップカールト)と呼ばれる銀行と提携しているオランダの交通系ICカードです。ディスプレイの下に明示されている場所にOV-chipkaartをタップすると周囲のライトが緑色に変わり、ディスプレイには “Fiets ingecheckt! (自転車チェックイン!) “と表示され、入場可能となるのです。

 

利用者はこの交通系ICカードを登録するか、Fietstag(ICチップ付の自転車タグ)を自転車に装着する必要があります。Fietstagの加入料は無料で、車庫内での依頼と処理はわずか2分で完了するそう。
ちなみにこの駐輪場は最初の24時間は無料なんです。その後は1日あたり1.35ユーロで駐車できるといったサイクリストたちのお財布に優しいのも、自転車大国ならではと感じます。しかし、現時点ではスマートフォンやスマートウォッチ、デビットカードでのチェックインはできません。また、小さな子供を連れた家族に多いカーゴバイクの駐輪スペースやE-BIKEの充電設備がないといった点は今後改善されるべき事項かもしれません。

同市はインスタグラムで4年間にわたり定点観測した工事の様子も公開しており、運河の数が160以上ある水の都・アムステルダムのその特徴的な地形を上手く利用したことがわかるとても興味深い動画となっています。

 

 

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この駐輪場は、地下鉄やアムステルダム中央駅と地下でつながっており、ここから直接歩いて公共交通機関を利用することができます。

>>前回のコラムへ

出典
Amsterdam’s underwater parking garage fits 7,000 bicycles and zero cars – The Verge
水中駐輪場、アムステルダムで驚異のプロジェクトが現実のものに – msn.com
New Underwater Bike Parking at Amsterdam Central Station – DUTCH CYCLING EMBASSY

 

 

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