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2021.11.18
コラム

オランダに学ぶ:自転車に乗って、幸せになろう!   

コラム監修:自転車総合研究所 所長 古倉 宗治

オランダといえば、フェルメール、ゴッホ、レンブラントなどの有名な画家の出身国です。ちょうど先日の10月12日、私が日ごろから密かに楽しみにしているDoodle(何らかの記念日にGoogle のロゴマークをアレンジしたもの)がフェルメールの絵画をアレンジしたデザインになっていました。

「なぜフェルメール?」と思って調べたところ、1995年のその日、ワシントンD.C.の国立美術館で、35点の既存の作品のうち21点をも展示する展覧会が開かれた記念日なんだそうです。

しっかりgoogleのロゴも隠れています

出典 ヨハネス・フェルメールを称えて (google.com)

https://www.google.com/doodles/celebrating-johannes-vermeer

話を戻しますが、有名な画家の他にもオランダにまつわるモノ・コトはたくさんあります。ディック・ブルーナの「ミッフィー」はもちろん、チューリップ、風車など昔から持っているイメージもあります。最近は「平均身長が高い国1位」「非英語圏の中で英語が上手い国1位」ということも知りました。オランダ語は英語とドイツ語の中間といった感じの言語なので納得ですが、生まれながらにして英語が上手いだなんてなんともうらやましい!

オランダが1位を取っているランキングは他にもありますが、世界一の自転車大国ということはご存じでしたでしょうか。国民1人当たりにつき1.25台※1と、世界で最も高い保有率を誇っています。ちなみに日本は約0.56台なので、オランダは日本の2倍以上もの保有率となります。自転車12,500台を収容可能な世界最大の駐輪場もオランダのユトレヒトにありますし、「自転車の国」と世界に発信するくらい政府が利用を推進していたりと、自転車が生活に密着した自転車フレンドリーな国なのです。

※1 「自転車統計要覧 第51版」, 一般財団法人 自転車産業振興協会, 平成29年6月, p148より研究所が計算

さて、自転車大国故に、自転車利用についての考察もたくさんあるのですが、今回取り上げたいのは2018年10月にオランダサイクリングエンバシー※2により作成された「オランダ自転車ビジョン」です。いろいろな自転車戦略やビジョンを見てきた当研究所の所長も『かなり説得力がある』と唸っていました。

※2 公民が連携して持続可能な自転車利用を推進する団体

このビジョンでは24ページある本文の内、16ページも自転車を利用することによりもたらされる“利益”の説明に割いているのですが、何よりも興味深いのは、その利益の1つに “幸福”があるということです。

では、自転車に乗ると、なぜ幸せになれるのでしょうか?

オランダ自転車ビジョンでは、次の3点を挙げています(図1)。

図1 Cycling increases happiness

 

「Cycling is associated with joy!」

1つ目は、自転車に乗ることは喜びと関連しているということです。2016年のKiMオランダ交通政策分析研究所の調査で、自転車に乗ると喜びを感じると答えた人は全体で59%、嫌悪感を抱くと答えた人は2%という結果になっています。おもしろいことに、自転車によく乗る人は69%と高いのですが、あまり(全く)利用しない人も44%が喜びを感じるといったポジティブな印象を持つ人が、車や公共交通機関(それぞれ26%と7%)と比較しても多いということがわかります(図2)。

図2 車・自転車・公共交通機関利用時の感情(2016年)

 

「Cycling offers freedom to children」

2つ目は、子供たちに自由を与えるという点です。安全に目的地に着くことができ、解放感を与えてくれると書かれています。オランダはユニセフの「子供の幸福度ランキング」※3でも1位になっているのですが、このランキングは3つの項目(①精神的幸福度 ②身体的健康 ③学力・社会的スキル)の評価を基に作られており、オランダは精神的幸福度の評価でも1位となっています。実は、この精神的幸福度は、自転車利用と密接に関わっているのです。2019年の13~15歳の男女と親を対象とした精神的幸福度の調査で、 “自転車に乗る”ことは、幸福度の指数でプラスになっており、“規則正しく朝食をとる”に次いで高い数値となっています。日常的な行動の中で自転車が精神的幸福度に与える影響の大きさがよくわかります(図3)。

※3 「Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries」国連児童基金(UNICEF)イノチェンティ研究所が作成。同ランキングでオランダは2007年、2013年、2020年に1位。

図3 8種類の行動と若者の精神的幸福度の関係

 

「Cycling improves quality of life」

最後は、生活の質の向上です。自転車は、どこへでも自由に好きな時にすぐに使える「利便性」、道路の交通量や時刻表を気にしなくて良いため、車や公共交通機関よりも「独立性」や「柔軟性」があり「いつも時間通りに目的地に到着できる」、そして「楽しさ」とも関連しています。生活の質が向上することは主観的な幸福の指標の1つであることは周知の事実です。

オランダ自転車ビジョンの“幸福”考察から自転車の役割の可能性が想像以上に幅広いことがわかりました。もし、日頃からストレスや疲れが溜まっていたり、忙しさから幸せを感じることを忘れている時は、自転車に乗ってみてください。幸せな気持ちになれるかもしれません^^

 

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