シェアサイクルシリーズ ③渋谷区・港区・千代田区
~シェアサイクルで紅葉を見ながら神社めぐりをしてきました
コラム監修:自転車総合研究所 所長 古倉 宗治
新年明けましておめでとうございます。
去年は12月も半ばになるまで比較的暖かい日が続いていましたが、年末からしんしんと冷え込んできたので、12月前半の暖かさを懐かしんでいます。さらにその前の月(11月)はもっと穏やかな気候だったので“シェアサイクリング”※1をしてきたんです。
新年最初のコラムは去年の振り返りとなりますが、お付き合いください。
※1シェアサイクル+サイクリング=シェアサイクリング!自転車総合研究所で作った造語です^^
今回の“シェアサイクリング”では神社めぐりをしてきました。
途中に有名な紅葉スポットを組み込み、渋谷区~港区~千代田区を下記のルート(詳細なルートは設定できなかったため、おおまかなルートです)で約10kmを巡ってきました。
後日、このコラムを書いている時に気づきましたが、けっこうな移動距離。完走後、妙に達成感があったのはそのせいですね(゜.゜)
① 明治神宮
明治神宮は原宿駅1番出口に到着してすぐの場所にあるので、まずは今回のサイクリングで事故がないよう参拝することにしました。ここは明治天皇と昭憲皇太后をお祀りしている神社で、初詣では日本一の参拝者を誇る関東の名所。下の写真を見るとおわかりになるかと思いますが、自然が多いので都会のオアシスとしても有名です。
本殿へつながる長い参道。10分ほど歩くと本殿に着きます。
すぐ近くに竹下通りがあるとは思えないくらい静かで澄んだ空気が流れている場所です。綺麗な空気をたくさん吸って良いスタートが切れました。
明治神宮からポートへ行く途中の歩道橋からパシャリ。
さて、ポートに到着。渋谷エリアはドコモ・バイクシェアが普及しています。ドコモのシェアサイクルは第1回目で乗っているので、スマホでの予約も開錠の操作もスムーズにできました!
ここのポートは路地裏にあり、周りに少々急な坂があるため、徐行&左右の確認はしっかりと進んで行きます。そのまま明治通りを渡りキャットストリート※2を超えたところですぐに目的地が見えてきました。
※2 渋谷区の遊歩道で渋谷と原宿を繋ぐ明治通りから表参道側に一本入った裏通り。正式名は 「旧渋谷川遊歩道」。
② 隠田(おんでん)神社
明治通りから一本入った場所にあり、とても静かでアットホームな雰囲気の神社です。
御祭神は、淤母陀琉神(オモダルノカミ)と阿夜訶志古泥神(アヤカシコネノカミ)。
ちょっと難しい読み方ですが、「古事記」に登場する、天地が誕生した時に現れた7代の神のうちの第6代の神様なのだそう。
「オモダルは「整った容貌」の意味、アヤカシコネは「畏れ多い女性」の意味とされ、男女の人体の完成、整った容貌への畏怖をあらわしています。そのため、美容や技芸上達、夫婦円満、万物創造の神として信仰されています。」(HPより)
なるほど…美容の神様…。
ということで、しっかりとお祈りを。
「肌荒れが治りますように…」
写真(上)は隠田神社HPより
サンマ2本で11に見立てているそうです。
隠田神社を後にして、表参道の一本裏の通りを自転車で進み、青山通りへ出ることに。
青山通りでは車道を走行しようと思っていたのですが、路駐の自動車が列をなして自転車ナビラインが見えませんでした( ;∀;)。このまま車道を走るのは怖かったので歩道の車道寄りを自転車でゆっくり走行することに。しかし…歩道は思った以上に混雑していたので自転車から降りて押しながら歩きました。時々歩道が空いてきたら自転車に乗って、混雑してきたら降りて、を繰り返し、20分かけてようやく神宮外苑前いちょう並木に到着しました。
③明治神宮外苑前いちょう並木
綺麗に剪定された146本のいちょうが4列に並ぶ有名な紅葉スポット。一本道の先には聖徳記念絵画館が見えます。この日は平日でしたが写真を見てもわかる通り混雑してたので、ひとまず、いちょう並木から徒歩5分程度のところにあるポートにいったん返却してから見物することにしました。
動画撮影をする学生や並木道のカフェで紅葉(黄葉)を見ながらお茶している老夫婦、落ち葉をかきあつめている親子連れ、老若男女みんなが紅葉を楽しんでいました。いちょうの木を見上げながら進む紅葉のトンネルは圧巻!見ごたえありでした。
今回のサイクリングでは神社の紅葉がまだ見頃ではなかったので、この美しいいちょう並木を訪れることができてラッキーでした。
④ 乃木神社
紅葉を堪能して、先ほど返却したポートに戻りました。再度シェアサイクルを借りて次の神社へ出発!
こちらのポートには絶えず利用者が来ていました。
ポートの前の通りを10分程度まっすぐに進むと有名な乃木坂が見えてきます。乃木坂を下ると鳥居が見えてきました。乃木神社に到着です。
(この神社は某アイドルの聖地としても有名ですよね。)
乃木神社は明治神宮とつながりがあるんです。というのも、明治神宮に祀られている明治天皇と深い信頼関係で結ばれていた軍人の乃木希典とその妻・静子が乃木神社のご祭神なのです。乃木希典は明治天皇の死後、妻・静子と共に後を追って殉死。その死を悼み乃木神社を創建し、ここに祀られることになりました。
乃木神社の境内に入ると左手に赤坂王子稲荷神社が、本殿の右手に正松神社も鎮座しています。正松神社には玉木文之進とその甥の吉田松陰が祀られており、学問の神様とされているとのことでこちらにもしっかり参拝してきました^^ちなみに乃木希典の弟は玉木文之進の養子に出ていたそうです。神社の背景を読んでいくと歴史の人物の繋がりも見えてきて、はっと驚くことがあるのが面白い。少し身近な歴史をかんじることができる神社でした。
乃木神社本殿。写真だとこじんまりしているように見えますが奥に広がっています。
さて、次の目的地に行くため赤坂へ向かったのですが赤坂という地名だけあって坂が多い!電動アシスト自転車のおかげでとてもラクに上り下りできましたが、普通自転車だと心が折れそうになっていたと思います。
途中でミッドタウンの前を通ったり、六本木の通りを走行したり、普段なら歩いていく街や場所を自転車で走ると、また違った景色が見えて楽しいですよね。いつもとは違う景色のせいか道に迷ってしまいましたが、日が暮れる前に到着できました。
⑤ 赤坂氷川神社
右:入ってすぐ右手にある四合稲荷。
境内に足を踏み入れると、緑が多く、ここが赤坂とは思えないくらい、むしろ昔にタイムスリップしたかのような気分になりました。調べたところ、ご社殿は1730年に徳川吉宗の命によって建立。関東大震災・東京大空襲などの被災を乗り越え、なんと江戸時代に建てられた社殿がそのまま残っている貴重な神社でした。
また、鳥居をくぐってすぐ右手に四合稲荷があります。「しあわせいなり」と読むので縁起が良いですね。名付けたのは、あの勝海舟(センス良い!)。歴史上の人物がかかわったものに触れ、江戸時代の情景を感じ、想いを馳せる。なんともノスタルジックな気分になったのでした。
⑥日枝神社
さて、最後の目的地へ向かいます。日が暮れそうな時間になってきたため、少々焦りながらも日枝神社には5分もかからず、あっという間に到着できました。
その前に近くのポートに返却することも忘れずに。
神社は高台にあるものですが、日枝神社はそのことが良くわかる神社です。
都心に突如として現れる巨大な鳥居(山王鳥居)。
私は山王橋から眺める街の景色が好きなので、いつもここから参拝します。
ちなみに、今回の“シェアサイクリング”最初の目的地・隠田神社の御祭神は「古事記」に登場する、天地が誕生した時に現れた7代の神のうちの第6代目の神様でしたが、こちらの日枝神社では、その第1代目の神様「クニノトコタチノカミ」お相殿神※3として祀られています。
※3 通常、神社では複数の神を祀っていて、その中で主として祀られる神が御祭神(主神)、それ以外の神を相殿神などといいます。
17:00PM 終了
天気にも恵まれ、神社の良い空気をたくさん吸って神聖な気持ちで一日を過ごすことができました。都内にはたくさんの神社がありますが、電車で行くよりもシェアサイクルを乗り継いで行ったほうが早く行けてしまいます。シェアサイクルは3回目なので、借りる時も返却する時も、もうあたふたしません!最後になりますが、今回のサイクリングで特に印象的だったのは、青山通りにシェアサイクルを使っている人がとっても多かったことです。乗っている人のほとんどがスーツを着たビジネスマンで、仕事の移動で使用しているようでした。また、私もシェアサイクルで多くの場所を短時間で楽しく巡ることができて、改めて、その利用可能性が大きいことを実感しました。
そして少し気になったことも。
青山通りの歩道で自転車を押して歩いていた外国の方が、少々困惑気味の様子で、歩道を走行している自転車を見つめていました。それもそのはず、海外だと日本よりも自転車の交通ルールは厳しく、自転車が歩道を通ることはご法度なのです。
しかし、日本では、自転車は車道が原則ですが、歩道は例外として認められています。自転車安全利用五則が2007年に制定されて、自転車は車両であり、その車道通行が進められてきましたが、例外的に、歩道通行可の標識のある場合、運転者が13歳未満又は70歳以上の場合、車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合などは歩道通行が認められているのです(道路交通法第63条の4)。なお、この2007年制定の自転車安全利用五則は、先日の2022年11月1日にすべての自転車利用者のヘルメット着用の努力義務を含めた道路交通法の改正などを契機にして、さらに自転車の安全利用を促進するため、新しい自転車安全利用五則が制定されるなどの措置が政府の交通対策本部により講じられました。
これを機に自転車のルールをよりよく知っていただけたらと思います。
自転車の安全利用の促進について – 内閣府 (cao.go.jp)
今年も交通ルールを守りながら楽しく自転車に乗りましょう^^